2002年7月13日(土) 出口のない迷路 男の子達の闇

女の子達が思春期に悩み鬱に苦しみ、自傷したりすることは結構知られてるし、問題視されている。でも男の子達のことはあまり話題にならない。思春期のクラスでRaising Cainという思春期の男の子達について書かれた本を読んだ。男の子の苦しみはとても深く痛ましい。でも男であるってことが影響して本人も周りもその闇に気付かない。気付いても見逃してしまう。だから男の子は出口のない迷路をさまよって、誰にも助けを求めることもできずにもがいている。そして最終的に死を選んでしまうこともある。

男の子は自分の感情をあらわす方法を知らない。特にネガティブな感情、悲しい、苦しい、淋しい、つらい、怖い、そういう心の痛みを表に出すことができない。それは社会が要求する男たるものっていう価値観の影響を受けてる。男性は自立しなければならない、強くなければらない、だから子どものころから感情を押し殺して生きていくことを学ぶ。それから生物学的にも男女では違いがある。女の子は男の子より言語の発達が早い。だから早くから自分を表現する方法を学ぶわけ。でも男の子は身体的には活発だけど、内面的には女の子より発達が遅い。そして親や先生周りの大人達は女の子には思いやりとか内面的な成長を求めるけど、男の子に対しては強くなることばかり求めるでしょう。だから男達は自分の感情を表現する語彙を学ぶ機会がない。

小学校くらいまで活発に元気だった男の子も中高になると暗い闇に囚われていく。それが思春期というものではあるけど、自分の悩みや苦しみを表現するすべを知らない分、男の子達のケースはとてもシビアなもの。それに男の子達の鬱は見逃されやすい。女の子の鬱はブルーな気分がメインだけど男の子の症状は、イライラ、かんしゃく、暴力としてあらわれる場合が多い。大抵の場合こういう症状は思春期特有の男の子としてほっとかれてしまう。ちょっとくらいの攻撃的性格はオッケーだってね。でもその感情が蓄積されてどこに向うのか考えると脅威を感じる。犯罪につながるかもしれないし、自殺してしまうかもしれない。

自殺にはまた性差がある。自殺の方法を見る時、男性はあきらかに致命的な方法を選ぶという統計がある。女性は薬の大量摂取やリストカットなど致命傷が低い方法を選びやすい。一方男性は、首吊りや銃を使ったりと確実に死ぬ方法を選ぶ傾向がある。(これは女性が致命傷の低い方法を選ぶからと言って本気で死ぬ気がないというわけではありません。死にたいという意志のレベルは男女ともに同じです。)結局自殺したいと思ってる男性は女性より確実に死ぬ可能性がある。だから思春期で深い闇に囚われている男の子達はリスクが高い。自殺を試みたら最後、助かる見込みのない方法を選ぶ可能性が高いということ。

これって結局社会が悪いんだよね。世の中が男性に対して、男らしく強くあるってことを要求しすぎるから男性達は何かつらいことがあっても涙を流して、「苦しい」って言う場所がない。そういう風に育てられた男の子達のためには迷路に出口を作ってあげる必要がある。友達でも彼女でも、学校内でも家庭内でもどこか感情を吐き出せる場所があればいいの。自殺しようと思うほど苦しんでいることに、誰かが気付くことができたらそれは出口への光になると思う。そしてもう一つ大事なのはこれから生まれてくる男の子達に感情を表現する手段を教えること。それは結構父親の役割が重要かもしれない。男の子に強くなることばかり教えるんじゃなくて、例えば花を見てキレイだと思う感情とか、泣いてる妹や弟がなぜ悲しいのか考える力とかを養うことが大切なんじゃないかな。

思春期の男の子も女の子もとても痛ましい。でも思春期の経験は人を精神的に強くさせる。あれ以上にどん底にいた時期はなかったな〜って思うと大人になってから大抵の試練は乗り越えられるもの。


HD Top   <<  >>